【ユーグレナ】大量生産に成功したミドリムシを利用した食ビジネスに迫る | つむぎログ

【ユーグレナ】大量生産に成功したミドリムシを利用した食ビジネスに迫る

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ミドリムシまたはユーグレナって聞いたことはありますか?

もしかしたら、小学生や中学生の頃に理科の授業で見たことがある人もいるのいではないでしょうか。

そんなミドリムシですが、最近は食品に使われることがちょっとずつ増えてきました。

私もミドリムシクッキーは食べたことがあったのですが、最近コンビニでミドリムシの野菜ジュースを見つけました。

ミドリムシって言葉だけ聞くと「ムシか、嫌だな」って思うかもしれません。しかし、ミドリムシは栄養満点で、食健康の面から見て、いい素材なのです。

今回は、こんなミドリムシを利用した食ビジネスと株式会社ユーグレナについて紹介します。

ミドリムシ(ユーグレナ)とは?

・ミドリムシはどんな生き物?

ミドリムシ(緑虫)は、ユーグレナ植物門ユーグレナ藻綱ユーグレナ目に属する鞭毛虫の仲間であるミドリムシ属 Euglena の総称。Euglena の由来は、(eu 美しい + glena 眼点)。名称としてミドリムシの代わりに「ユーグレナ」を用いる場合も多い。

引用:wikipedia

ミドリムシは、

  • 鞭毛をもち、動くことができる
  • 葉緑素をもち、光合成することができる
  • 淡水に生息し、どこでも一般的に見られる
  • 名前の由来になった、赤い眼点を持つ
  • 光学顕微鏡で観察でき、かつ動きが遅いので初歩的な顕微鏡観察の題材にはうってつけ

このような特徴があります。

1mm以下ですが、どこにでもいるので、理科の観察では非常にいい生き物です。

さらに緑の葉緑素、赤い眼点は観察しやすいですし。

また単細胞生物のため、小さな生き物を教育する目的にも良いでしょう。

・ミドリムシは動物?植物?

ミドリムシはアメーバと同じように動きます。

しかし、藻類のように光合成をします。

ではミドリムシは動物なのでしょうか?植物なのでしょうか?

結果は「わかりません」

はい、すみません。

というか、未だに議論されており、決着がついていないのです。

ミドリムシの進化の過程を探ると、ミドリムシは動物細胞と植物細胞が共生する事で誕生したということができます。

つまり、「アメーバのような動物細胞が葉緑素を持つ単細胞の藻類を捕食したけど、利用できるので、そのまま自分の細胞内に残した」ということです。

ミドリムシは植物にある細胞壁を持っていませんし、暗いところでは動いて外部から食物を得ることができるので、動物の特徴があります。

それと同時に、光合成して栄養素を作ることもできるのです。

とってもハイブリットな生き物なので、今後どういう結末になるのか楽しみですね。

株式会社ユーグレナとは?

さて、ここからはビジネスとしてミドリムシを扱う、株式会社ユーグレナをピックアップします。

ミドリムシの学名であるユーグレナ( Euglena)をそのまま企業名にしている会社です。

東大発のベンチャー企業

ユーグレナの社長は、「出雲充」氏です。

この方、常にミドリムシカラーの緑のネクタイをしているのが特徴的です。

ユーグレナは現在、東証一部に上場している株式会社ですが、元々は東京大学出身者で始めた東大発のベンチャー企業です

今は研究所が横浜に移っていますが、当初は東大の中に研究所がありました。

ユーグレナをビジネスとしてやることになったきっかけは、出雲氏が海外での栄養失調の現実を知ったことから始まります。

出雲氏はもともと文系学部の出身です。

大学1年の時、インターンの一環でバングラディシュに訪れ、そこで、深刻な栄養失調の現実を知ります。

その後、後輩であり、一緒に会社を興す鈴木健吾氏に出会い、同じ農学部に転部してミドリムシの研究を始めるのです。

世界で初めてミドリムシの工業培養に成功

ミドリムシの培養は、現在、沖縄県の石垣島の屋外で行われている。

光合成をさせるために、やはり温度が比較的一定で、かつ光の当たる屋外を選んだのでしょう。

そう、屋外なのです。

屋外なのです。

はい、大事なことなので、何度も言いました。

通常、微生物培養を行うときは、他の微生物が入らないクリーンな環境で、目的の微生物のみを増やすことを目的とします

これを純粋培養と言います。

純粋培養をする理由は他の微生物によって

  • 栄養の取り合いをさせないため
  • 喰われないため
  • 環境を変化させず、持続的に増やすため

主に以上の3点のために、行います。

考えてみてください。

ミドリムシは動けると言っても、そんなに早く動くことはできず、かつ食品に使われるほど、栄養素を含んでいるのです。

こんなの他の微生物にしてみたら、格好の獲物です。

しかし、光合成させることを考えたら、他の微生物が入らず、かつ光の当たる環境を作るとなると、管理だけでなく、光熱費もかなりかかることが予想されます。

アルコール発酵する酵母のように大量に増やせるならいいのですが、ユーグレナの大量培養に成功する前は1ヶ月かかって10g程度ミドリムシが取れれば、いい方でした

これではコストばかりかかって、ビジネスとしてはダメですね。

そこで(株)ユーグレナは、初めから屋外であっても、ミドリムシだけが育つことができる特殊な培養液の開発と、その培養液で増殖できるミドリムシを探したのです。

ミドリムシは自然の中にいるということは増えるための何かしらの能力を持っていると考えたのです。

ミドリムシはあんな単純な生き物ですが、100種類もいるのです。

ならそこには特殊な環境でも生きることができるのがいる、と考えたのです。

3年の研究の末、他の微生物が住むことができない酸性の培養液を完成し、屋外で培養することに成功したのです。

このことを学会で発表したときには、ミドリムシの研究者に「そんなのは嘘だ」と言われたそうですが、出雲氏はそれを想定して作ったばかりのミドリムシ2kgを見せて、専門の研究者を驚かせた、という話があるくらい、この大量培養の成功はすごいことなのです。

このようにミドリムシの大量培養に世界で初めて成功した、これがユーグレナの特徴です。

ユーグレナのビジネスモデル

詳しくはこの本がオススメです。

ユーグレナは「研究開発型企業」です。

研究開発型企業とは、その名前の通り、研究開発に強みを持っている企業です。

ユーグレナの場合は、「世界で初めてミドリムシを大量培養させた」ことが強みです。

このような企業には次のような特色があります。

  • 企業発足時にコストがかかり、コスト回収までに時間がかかる
  • 様々な企業や機関の出資、協力が必須
  • 一度製品ができると、少ない製品で大きな売り上げになる

研究開発型の大きな企業といえば、大手製薬メーカーです。製薬は作るまでに時間がかかりますが、実際に販売すると何年も売れ続けるため、長期的に考えるとコストメリットがあるのです。

しかし、食品分野だけを見ると、単価が安いので、研究コストを回収するためには医薬品以上に大量に販売することが必要になります。

実際、食品分野でベンチャーは多くありませんが、中でも研究開発型のベンチャーはほとんどなく、ユーグレナ社ぐらいです。

または利益を上げるためには、食品以外の可能性を探ることで、より高利益のある商品を作ることが必要になってきます。

ユーグレナ社は現在、様々な食品へミドリムシを展開しています。

また食品以外に現在は、化粧品分野にも広げています。

そして、まだ実用化はされていませんが、上場時から目指していると公言している「バイオ燃料事業」です。

ANA、いすゞ、伊藤忠ネクストなどと協力し、2020年、東京オリンピックの年に実用化を目指して進んでいます。

これが実用化になると、収益構造は大きく変化しそうですね。

ミドリムシの食への魅力

栄養素が豊富

ユーグレナ社長の出雲氏がミドリムシに注目したのは、栄養素を豊富に含んでいるからです。

ミドリムシが含む栄養素は59種類。

これは単一として考えたら、ものすごく種類が豊富です。

  • ビタミン…14種
  • ミネラル…9種
  • アミノ酸…18種
  • 不飽和脂肪酸…11種
  • その他…7種

ミドリムシを取るだけでは必ずしも、1日に必要な栄養が取れるわけではありません。

しかし、補助的に取ることを考えれば、様々な栄養素を簡単に取ることができるので、とってもメリットがあるのです。

原料として利用できるので、さまざまな用途が作れる

ミドリムシの魅力は、食品の原料として使うことができる点です。

ユーグレナ社によって、ミドリムシの知名度が上がってきました。

しかし、ムシってつくから、なんか嫌だなって思う人もいるかもしれません

実際には乾燥した粉体になし、ミドリムシは小さすぎてその形が肉眼ではわからんですがね。

ミドリムシ入りと大体的に出している製品も口にしてみれば、普通です。

ミドリムシドリンクは、野菜ジュースでした。

ミドリムシクッキーはちょっと緑色のクッキーです。

つまり、味の影響が少なく、かつ栄養素が取れる原料なのです。

逆に考えれば、栄養目的であれば、別に大々的にミドリムシの名前を出さなくてもいいのが、原料の魅力です(原材料には出ます)。

名前が知られている市場なら、ちょっと入れるだけでも、購入に繋がります(例としては乳酸菌)。

要するにいろんな食品にちょっとずつでも入れることができるのです。

これは原料としての価値が上がれば、いろんな食品に入る可能性もあるのです

競合は生まれるのか

ミドリムシ以外にも栄養素の豊富な微生物はいる

ミドリムシは微細藻類の一種です。

実は微細藻類として、すでに食品(サプリメントなど)として利用されているものも生物がいます。

それは「クロレラ」「スピルリナ」です。

ここでは詳細は省きますが、クロレラ、スピルリナはどちらも完全に植物です。

つまり、野菜などと同様、細胞壁を持っています。

対して、ミドリムシは細胞壁がありません。

そのため、ミドリムシの方が短時間で消化されやすく、栄養素の吸収率も高いのです。

タンパク質の消化率のデータでは、ミドリムシが93%に対して、クロレラ、スピルリナは75%以下になっています。

競合は生まれている

ミドリムシは大量培養することが一つの大きなハードルです。

しかし!

すでに国内でも、競合が生まれています。

それが神戸製鋼グループの「神鋼環境ソリューション」です。

「神戸ユーグレナ」という名前でミドリムシを作っています。

この会社はもともと水浄化の技術を持っており、そこで微生物による水浄化に取り組んでいました。

その中で、ユーグレナ社同様に、ミドリムシに着目し、研究を続けてきた会社です。

こちらの会社では純粋培養を行なっているので、天候に関係なく、安定的にミドリムシの培養が行えます。

または機器を作ることも可能な会社のため、培養装置も自社開発という点がユーグレナよりも強みでしょう。

このミドリムシ業界を見た場合、現在はユーグレナ社が業界全体を引っ張っている感じになります。

ユーグレナ社が有名になったからこそ、神鋼環境ソリューションの神戸ユーグレナも販売しやすくなっているでしょう。

ミドリムシ製造を行なっているのはユーグレナと神鋼環境ソリューションの2社のみです。

ユーグレナの可能性が今後、周知されればより市場が広がります。

その頃にはさらに培養コストも下がり、ミドリムシの単価が下がるかもしれません。

このように市場環境が変化した際に、ほかの分野への応用、研究成果・開発、それらを進めることがユーグレナにとって重要なファクターになると考えます。

最後に

ユーグレナ社はミドリムシの大量培養に成功し、現在は東証一部の上場企業です。

はっきり言って、国内の若い企業として異例です。

それほどまでに期待の目が寄せられています。

食品の面では、まだまだ大きな広がりにはなっていませんが、

ユーグレナ社の存在自体が、大々的にメディアに取り上げられたことの宣伝効果が非常に大きく、ミドリムシの市場を新たに創出し、そして牽引しています。

新しい食品素材としての、ミドリムシと考えれば、まだ未知な部分は多いです。

今後、栄養素を豊富に含む以外で、健康価値をアピールすることができれば、さらなる市場の拡大につながると思います。

今後もチェックですね。