論点はどこか?IWC脱退から見る日本が捕鯨する本当の理由

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昨年末、2018年12月26日に大きなニュースが上がってきました。

IWC脱退、政府が正式発表 商業捕鯨再開へ

国際捕鯨委員会(IWC)から脱退することで、今年2019年の7月より日本の領海や排他的経済水域(EEZ)での商業捕鯨が可能になります。

今回はこのニュースについて、賛成反対の意見も含めて確認し、日本がどうしてIWC脱退に踏み切り、捕鯨を再開するのか、見ていきましょう。

捕鯨の実態

捕鯨国

調査捕鯨:日本

商業捕鯨:ノルウェー、アイスランド(IWC脱退後、再加入)

先住民族のみ:カナダ(IWC脱退済)、アメリカ、ロシア、フェロー諸島

年間捕鯨頭数

現在は年2000頭弱ぐらいです。

多いのはノルウェー、次に日本です。

捕鯨問題の賛成意見と反対意見

ここから賛成意見と反対意見についてみていきましょう。

なお、意見の下の青で囲んでいるのは

賛成意見なら反対派の反論(反対意見なら賛成派の反論)を載せてあります。

賛成意見

捕鯨は伝統である

捕鯨国は食料として昔から捕鯨をしている。乱獲は別の理由である。

先住民族(イヌイット)は認めている。日本の捕鯨は伝統ではない

日本は戦後の食糧難時代から食べ始めた(実際にはかなり歴史が深い)

数が増えている鯨の種類がいる

クジラは約80種います。レッドデータブックに絶滅危惧種とされている種もいますが、数が増えている種類がいるのも事実です。

IWCで管理されている種は13種です。

鯨は絶滅に瀕しており、保護すべきだ

クジラの数が増えることによって、プランクトンや魚が減り、海洋環境が崩れる

クジラは大きいですよね。その大きい体を維持するためには大量のプランクトンや魚などの魚介類を食べます。

クジラの数が増えるということは、クジラの食べる生き物が減る。それはクジラの数が減少する理由にもなるし、人が食べる魚も減ってしまいます。

漁獲量の低下は鯨が原因とは限らない

反対意見

鯨は絶滅危惧種であり、保護すべきだ

確かに最大の大きさを誇るシロナガスクジラなど数種は絶滅の危機に瀕しています。

数が増えている種もいる

捕鯨じゃなくても環境資源として利用できる

ホエールウォッチングなどによって人々は恩恵を受けることができる

それは論点をずらしている

神聖な動物だから

一部の国や地域ではクジラを神聖な動物として祀っている。

その国の信仰は尊重します

鯨は賢いから

クジラは知能が人と同じくらい高い動物であり、食べるのは良くない

賢い賢くないで選ぶべきではない。それは知的障害者や子供、老人を食べてもいいと極論を言っているようなもの。人よりも賢い生き物がいたら、食われてもいいのか

ここまで一般的に言われている意見とその反論を見てきましたが、

疑問に思った方もいるんじゃないでしょうか?

そう、意見がかみ合っていないのです

捕鯨関連の隠れた問題点

上では意見がかみ合っていないことがわかりました。

他にもこの捕鯨関連にはあまり報じられていない問題点が多数存在します。

IWCの存在意義

IWCは

国際捕鯨取締条約に基づき鯨資源の保存及び捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として設立された国際機関

です。

もともとは持続可能な捕鯨を行うため国際機関なのです。

ということは、一時的や場所を限定して捕鯨を休止することはあっても

反捕鯨の団体になっていること自体おかしいのです。

他文化圏への理解、尊重の欠落

1982年、商業捕鯨モラトリアムを採択され、商業捕鯨が禁止されました。

しかし、この時先住民族の捕鯨はそのままOKだったのです。

鯨食文化のある日本やアイスランドは禁止なる一方、反捕鯨を掲げるアメリカなどの先住民族の捕鯨は問題ないということになったのです。

この問題は、それまで大量に捕鯨を行っていた南極周辺の捕鯨禁止だけでなく、自国の領海、排他的経済水域内での捕鯨も禁止にしているのです。

これは、自国内の人は尊重するけど、他国の文化までは尊重しない、そんなダブルスタンダードな状況だったのです

科学的な根拠が表にあまり出てこない

商業捕鯨モラトリアムを採択後も、各国の判断により調査捕鯨が可能でした。

そこで日本は調査捕鯨を行い、多くの報告を行いました。

しかし、2014年、オーストラリアは、「日本の捕鯨は調査捕鯨ではなく、商業捕鯨で条約違反だ」と国際司法裁判所に提訴し、日本は敗訴しました。

この時の司法判断としては、「日本の調査捕鯨による査読付き論文は捕鯨数と照らしても少なく、調査以上に商業目的」と判断されたためです。

だが、ここにも裏があります。

実際には、その当時、日本はIWCに600件以上の調査報告をあげています。

しかし、その結果を科学誌に提出しても、「クジラを殺した」というだけで却下されたと、元IWC日本代表代理の言葉もあるのです。

もしこれが本当だとしたら、「IWCは科学的根拠を無視し、さらに感情論で動いている」ことがわかります。

ちなみに、捕鯨でとったクジラは最大限無駄なく利用することが条約で決まっているため、調査捕鯨後のクジラを食用として販売することは条約に沿った行動であり、これを批判する方が実際には条約違反になります。

ただし、日本が出している報告をざっくり確認しましたが、

殺さなくても調査できた内容が多い」と感じました。

さらに言えば、クジラの生態を知る以外の全く論点が異なっている報告もいくつかあります。

日本は鯨類研究所に毎年多くの予算を当てていますが、これでいいのか?とは思います。

反捕鯨国におけるダブルスタンダード

先ほどの件のダブルスタンダードですが、まだまだあります。

反捕鯨はクジラが絶滅危惧種であり、保護する必要があるから、という考えに基づきます。

反捕鯨国として、日本に強く言うオーストラリアもその一つです。

オーストラリアといえば、環境保全に強く取り組んでいる国です。

20世紀以降一番絶滅した生物種が多いうことも原因としてあると思います。

そのため、過激派も含め、オーストラリアでは捕鯨には反対しており、逆にホエールウォッチングとして保護対象を観光資源として活用しています。

しかし、そんなオーストラリアはクジラと同じく絶滅危惧種として指定されているカンガルーを多く狩猟しています。

年間140万頭、豪のカンガルー猟は是か非か

保護政策をした結果、増えすぎて今度は畑などを荒らす害獣として駆除しているのです。

クジラは海の深くに潜るため、その生態は未だ解明されていません。

逆に陸上にいるカンガルーは数を正確に把握したり、生態は把握しやすいです。

しかし、これは明らかにダブルスタンダードですよね。

捕鯨以上に問題なゴミ、ソナー、混獲

捕鯨によってクジラが減ることばかりが取り上げられますが、捕鯨以上にクジラを取り巻く環境にはさまざな問題があります。

クジラの体内から重さ6キロのプラスチックごみ

まずは海洋への人間のゴミ問題です。

特にプラスチックは海洋生物や微生物などの分解が非常に遅く、長期間堆積します。

沈めばいいのですが、これらのゴミは舞い上がったり、そもそも水の中を漂っているのです。

クジラは口を開けて餌になるプランクトンや魚を一気に食べていきます。

そのため、漂っているゴミも一緒に取り込んでしますのです。

それらのゴミは消化されることなく、クジラの体内に残り、体を蝕んでいくのです。

イルカやクジラの大量座礁や大量死。米海軍がその関与を認める。訓練や実験による海中の爆音によるもの。

クジラは超音波を使うことで、コミュニケーションしたり、他の生き物の場所を特定することができます。

しかし、それは同時に、人が利用するソナーなどの音波もキャッチしてしまうということです。

上のニュースでは米海軍もクジラやイルカの死にソナーが関係していることを認めています。

試算では、5年の模擬訓練の中で300頭が死に、10000頭が重傷を負い、20000頭以上が異常行動を起こすと言われています。

これはアメリカの例ですが、他の全ての国の海軍やタンカー、漁船などのソナーが影響していると考えてもいいでしょう。

“隠れ捕鯨大国”韓国の仰天実態 「混獲」で日本の4倍超…SSなぜ矛先向けぬ?

そして最後に誤って捕獲してしまう混獲です。

特に韓国が顕著で、日本の調査捕鯨・混獲(100頭ほど)量が多かった年でも2倍以上のクジラが混獲により市場に出て、食用とされています。

通常、混獲しても生きている場合は、海に逃がします。

日本の水産庁による逃す前に死んでしまった場合のみ、そのまま引き揚げる、ということです。

つまり、意図的に獲らない限り、調査捕鯨量よりも多くのクジラを打ち上げすることはあり得ないのです。

しかし、反捕鯨国の多くは、日本を非難することはあっても、混獲で大量にクジラを引き上げている韓国にはダンマリです。

エコテロリストの問題

数年前に、シーシェパードのニュースが話題になりましたね。

エコテロリストは「目的達成の為の暴力的な行為や破壊行為を実行する環境保護団体に対する蔑称として用いられる」 言葉です。

心理心情があるため、反捕鯨を訴えることは問題ありません。

しかし、度が過ぎて危険行為や犯罪行為に及ぶのはいけません。

上の動画でも、危険な行為と当時に、ビンを投げたりするのは完全に環境破壊行為であり、彼らの主張と行動はおかしいと思います。

クジラの問題では、このシーシェパードやグリーンピースなど、環境保護団体の全てではないにしろ、一部の過激派が違法行為に及ぶことが横行しているのです。

噂ー軍事行動の妨げになる?

そして、噂レベルの話ですが、魚群探知のソナー関連で、捕鯨船のソナーが極秘任務中の潜水艦を見つけてしまうため、それを阻止したいという反捕鯨国の考えがあるようです。

クジラと近いサイズですし、ソナーの上、クジラに見えてしまうかもしれません。

これが反捕鯨の理由だとすると、どこか納得してしまいます。

大事だけど見失っていること

捕鯨も反捕鯨も人のエゴである

エゴイズム=利己主義は、自己の利益を重視し、他者の利益を軽視、無視する考え方、です。

今までのことを振り返ってみましょう。

  • 捕鯨推進派、反対派の意見が食い違っていること
  • ダブルスタンダードが横行していること
  • 話の中心がクジラを含めた海洋環境ではなく、人間中心にクジラを考えている
  • 相手の意見に耳を貸さないこと などなど

どちらの意見にしても、利己主義的なのです。

IWCで目指すところが分からず、各国が相手を尊重せず、自国の利益に繋がるところしか見ていない、これが現在のIWCを含む捕鯨の根本的な問題だと感じます

鯨を取り巻く環境を含めた議論が少ないこと

日本鯨類研究所資料より引用

大型のクジラは海洋生態系のトップにいます。

小型のクジラはシャチに捕食されることもありますが、ほぼトップと言えるでしょう。

そうすると、クジラを保護するためにはクジラが食べるオキアミ〜イワシなどの魚類のことを考慮することが必要になります。

つまりオキアミなどの数が減れば、もちろんクジラも減るため、それらの海洋生物全体が増える環境を作らなければ、クジラを増やし、保護することにつながりません。

しかし、ゴミ問題のところと同様にクジラを取り巻く環境の研究成果は少ないです。

クジラは空気を吸う時以外海面上に現れることがないため、その生態系は不明なところが多くあります。

もちろん、実際の食性もです。

そこで直接的に調べる方法として調査捕鯨があるわけですが、これ自体が反対されているので、進むものも進みません。

クジラを守るには、その生きる環境を整えなければいけません。

しかし、そこになかなか目が向けられていないと感じます。

日本がIWCを脱退してまで、捕鯨を進める理由

IWC脱退は英断である

日本はIWC加盟国の中で最大の分担金を拠出してきました(毎年2000万)。

そして調査捕鯨による多くの報告を行ってきました(報告の良さは置いておきます)。

これはひとえに、世界から持続可能な捕鯨を認めてもらうためであり、それがIWCの設立理由でもあります。

しかし、今までにあったように話が噛み合わないのです。

多くの分担金、調査があっても今のままでは、IWCにいても私たち日本国民に利はありません(捕鯨・反捕鯨の主張に関わらず)。

なら、日本としての意見表明という形で脱退するのは英断だったと思います。

クジラによるイワシなどの漁獲量の減少への懸念

各種資料を見て、日本が一番懸念していることは

クジラ以上に「イワシやサンマなどの魚介類」の今後の漁獲量です。

これらの魚介類は乱獲によって日本の漁獲量は年々減少していますし、さらに魚自体が小ぶりになっています。

クジラとの関係性はまだ確定していません。

しかし、もしその可能性があるとしたら、無視することはできないために調査捕鯨等によりデータを集めていると考えます。

海洋生物資源への取り組み

生態系を守るとは、全体のバランス、そして人との関わりまでも見る必要があります。

クジラの数を減らさず、かつ、人が求める魚介類も持続的に取れる環境

それが目指すところです。

特に国土が海洋に囲まれており、昔から海洋資源を有効活用してきた日本にとって、その環境の維持が何よりも重要です。

この環境を維持することは海洋生物資源を包括的に考慮し、取り組む必要があるのです。

海洋生物資源を守る取り組みは、それらの生物の頂点に君臨するクジラにとっても豊富がエサを取ることに繋がるのです。

そのための、保全活動であり、生態系を理解するための調査捕鯨ではないかと思います。

最後に

この捕鯨の問題、調べれば調べるほど、話が噛み合わず、理解するのが頭痛の種でした。

それぐらい複雑です。

日本も然りですが・・・

日本はIWCを脱退し、7月からは領海、排他的経済水域内での捕鯨が可能になるでしょう。

私個人としては、捕鯨には賛成ですが、クジラの生態理解が非常に重要な問題だと思うので、捕鯨した個体の調査は必ず行って欲しいです。

クジラーそのほかの海洋生物ー人の活動

これら客観的に見て、良い保全活動につなげて欲しいと思っています。