2019年9月
消費者庁はアレルギー表示について推奨品目ににアーモンドが追加されました。
これによってアレルギーの表示が必要なものは
「特定原材料」7品目
エビ、カニ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
「特定原材料に準ずるもの」21品目
アーモンド、アワビ、イカ、イクラ、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、サケ、サバ、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、リンゴ、ゼラチン
となりました
決まったときには少しニュースになっていたようですが、だいぶ小さい印象です。
私自身普段アーモンドを扱っていないこともあって、あまり気にしていませんでした。
しかも、今回の改定、すぐに表示の変更が必要というわけでもない、というなんとも不思議な措置となっています。
今回は、アーモンドがアレルギーに追加された理由と、追加されたのにすぐに表示が必要ないという話を解説していきます。
目次
食品アレルギーにアーモンドが追加
木の実由来のアレルギーが増えている
2019年5月末に公表された第6回目となる平成30年度調査研究事業報告書を見ていきます。
調査は平成29年の間に、
“何らかの食物を摂取後 60 分以内に症状が出現し、かつ医療機関を受診したもの”
を医師に調査した結果です。
つまり、かなりひどいアレルギー症状が出た、と考えていいでしょう。
その原因物質の結果がこちらです。
参照:平成30年度調査事業報告書 図2原因物質
木の実類が既にアレルギーの表示が必要な落花生(ピーナッツ)よりも多い4番となりました。
木の実類の内訳は、クルミが 251 例(木の実類の 62.9%)で最も多く、以下カシューナッツが 82 例(同 20.6%)、アーモンド 21 例(同 5.3%)ということです。
クルミもカシューナッツも既に表示が必要です。
アーモンドは検討されてきた
上のようにアーモンドはかなり症状が報告されています。
それこそ、アレルギー表示に追加される前のバナナやゴマと同じくらいです。
くるみが表示義務化になる際には実はアーモンドも症例が年々報告されていることから、追加検討されており、今年追加されるに至ったわけです。
アーモンドの表示義務は急ぎでない点
通常アレルギーの追加は早急に対応が必要
通常の場合、アレルギー表示が必要な物質して決定した際には、早急に対応が求められます。
これは「アレルギー物質の摂取が最悪、死に至ることもある重大なことだから」です。
そのため、消費者庁はいつまでに表示を義務化するか、期限を設け、各食品事業者はその期限内に対応する必要があるのです。
アーモンドは少し時間を要するかも
アーモンドの表示の追加の期限について、食品表示基準Q&Aを確認すると次のようになっていました。
簡潔にまとめると、
可能な限り速やかに行うこと
ただし、表示の新制度の対応中のことを考慮して、表示は各食品事業者に委ねる
ということです。
表示の新制度は令和2年3月にまでに行う必要があるものです。
これは次のようなことです。
- 栄養成分の表示義務
- 添加物以外と添加物を分けて表示義務
- など
つまり現在、食品事業者の多くが新制度に対応するために着々と準備が進められていたわけです。
しかし、ここにきて、新たなアレルギー物質の表示です。
アーモンドをあまり使っていない事業者はそんなに大変ではありませんが、アーモンドやアーモンドパウダーをたくさん使用する菓子メーカーや製菓店などは、対応しなくてはいけない品目もすごく多くなることです。
またメーカーなら、組織も大きいのですぐに対応できるかもしれませんが、
個人でやっている製菓店なんかすぐに対応ができるか、問われれば、難しいのではないでしょうか。
このような現状を踏まえて、表示の期限が定められていない、ということです。
まとめ
- アーモンドがアレルギー物質として追加された
- 表示義務の期限は定められていない
もしアーモンドのアレルギーがある場合は、アレルギーの一括表示に頼らず、今まで通り、しっかり原材料表示を確認して、アーモンドやそのパウダーがないことをまだ当分の間は見る必要があります。
事業者は命に関わることなので、早急に対応して欲しいですね