【解説】食品メーカーの研究職や商品開発職に就きたい!大学の専攻と転職事情

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大学院を卒業してから、食品メーカーで研究開発職に従事している管理人です。

将来は食品メーカーで開発の仕事をしたい!

折角、大学・大学院まで来たんだから、食品メーカーで研究の仕事をしたい!

そんな希望に溢れている人が多くいると思います。

凄くいいと思います!

しかし、

食品メーカーの研究開発職の人数は非常に少なく、就職は狭き門です

今回は、就活、転職で食品メーカーの研究開発職に就くために、

大学でどんな勉強をし、どんな経験が必要か紹介します。

食品メーカーの研究開発職は狭き門

食品メーカーの研究開発職は全体の1%

製造業の就業人数は約1100万人です。

農林水産省の食品産業に関する資料より、食品メーカーの就業者数は約145万人です。

他のメーカーに比べて、食品メーカーの採用数は少ないです。

そして、

文部科学省の日本の科学技術より、食品メーカーの研究者人数は約1.5万人です。

つまり、

食品メーカー全体で、研究開発職は1%にすぎないのです。

製造業平均は、研究開発職が約7%

食品メーカーの研究開発職が採用数も、雇用数も少ないのです。

補足として

食品製造業界の研究開発職は平均1%でも、内情は企業によっては様々です。

私が見聞きした限り、食品メーカーでも

  • 医薬品の開発もやる企業
  • BtoBで原料素材系をやる会社

ほど研究開発職の人数割合が高い傾向にあります。

特に原料素材系は、社員の半数近くが研究開発職という会社も存在します。

このような企業はBtoBで、かつ、原料というニッチ市場(※)において、

開発力が差別化要因になるため、研究開発力に力を入れているわけです。

例えば、乳化剤、安定剤、発酵素材、などなど

※ニッチ市場:市場の一部を構成する特定のニーズ(需要、商品)を持つ規模の小さい市場

また原料素材系の営業は、商品を売り込むというより、

顧客が目指す品位に合う商品やその使い方など、

技術面からのアプローチが必要になります。

そのため研究職で入ったのち、営業に異動させるようです。

またBtoBなので、BtoCよりも営業が入らないため、

研究開発の人数比が高くなります。

それ以外の食品企業は、製造職、営業職が多いです。

とはいえ、機械化がより製造系の社員は減っている傾向にあります。

さらに

基礎研究・応用研究の従事者は全体の10%強というデータから、

食品の研究開発職のうち、80〜90%は開発職が占めています。

研究開発職にはどんな学部出身の人が多いのか?

実際に働いている人の学部は様々です。

ただし、生物系(農学、理学生物、生物工学、保険、栄養など)が多いです。

特に多いのが、農学部系です。

文部科学省の日本の科学技術からも

  • 農学系:65%
  • 理学系:23%
  • その他(保健、工学など)

になっています。

体感では生物系>化学系>その他です。

しかし、働いて感じるのは、

  • 生物系でも直接食品のことをやっていた人は多くない
  • 化学、物理など他の分野を専攻した人も活躍できる

ということです。

理系であれば、どの専攻でも食品メーカー研究開発の仕事はできます。

食品メーカー研究開発職の就活に有利な専攻

上記のことを踏まえて、

新卒の就職活動で食品メーカーの研究開発職に有利な専攻を考察します。

新卒入社では大学の研究は重視していない

有利な専攻と言いましたが、

残念ながら、食品メーカーは大学の研究内容は重視していません

生物系や農学系の出身者は多いですが、

食品を直接扱う大学や専攻は多くなく、他のことをやってきた人がほとんどです。

食品系の学会も大学の人よりも企業の人の方が圧倒的に多いのが現状であり、

それらの学会に参加する大学は非常に偏っています。

そのため、

食品製造の基礎を学ぶために必要なベース知識(生物、化学、(物理))があれば、

それ以上の詳しい分野はあまり気にしていないのです。

その代わりに、新卒採用では「どのような姿勢で取り組んだのか」という

新卒採用一般的な内容を聞いてきます。

農学部、食品科学、栄養は圧倒的に倍率が高い

食品メーカー研究開発職のうち、農学系は65%、食品化学、栄養系も入れると70〜80%になると思います。

さらに、研究開発職は1.5万人。

40年働くとして、ピラミッド型の構造を考慮すると、

国内で食品メーカーの研究開発職の枠は年間1000人程度、です。

上記の割合がそのままなら、生物系は800人程度です。

では、生物系出身者で、食品メーカーの研究開発職を希望人数は?

数字は出しませんが、10倍以上はいるでしょう。

以上のことから、生物系から食品メーカーの非常に倍率が高い。

ただし、専門分野では、大学や専攻、または教授からの推薦が残っています

それで決まるわけではありませんが、1つの手段として考えてみてください。

就職しやすいのは医学部、獣医学部

全体数は少ないですが、医師免許、獣医師免許を取得した人が食品メーカーにいます。

研究開発の分野の中には、これらの免許がないとできない分野があるからです

例えば、トクホ(特定保健用食品)です。

トクホは実際に食べたことによる検証が必要です。

医薬品メーカーと違い、医師免許が必須ではないですが、あると便利です。

また、試験動物を利用する場合、獣医師が必ず1人以上必要になります。

獣医師は、畜肉の屠殺場にも必ずいて、食との関わりが非常に深いです。

ただし、これらの免許を持って、食品メーカーに就職する人は多くありません

(給与面も医師の方が絶対いいですし)。

つまり、需要はあるけど、人がいない部分です。

経験を活かすなら、化学、物理、工学系

大学の専門を生かしたいなら、化学、物理、工学系も活躍の場があります。

例えば、油。

油の反応や抽出方法など、これらには有機化学の知識が役に立ちます。

またその健康性を調査するなら、生化学の知識が必要です。

味や香りを評価するにはLC、GCを始めとした化学分析が必要です。

他には冷凍技術や調合の流体力学、効率的な製造機器の開発など、食品の安定性や物性を作るのに物理の知識はあると便利です。

今の食品メーカーは機械化がどんどん進んでいます。

つまり、機械工学、光学、コンピューター系の知識も必要なのです。

※研究ではなく、生産技術といしている企業も多いです。

今後必要とされるのは、ここだ

これは完全に私の独断と偏見です。

採用の絶対数は多くないですが、情報処理系です。

例としては、「味香り戦略研究所」です。

こちらはメーカーではなく、味を評価する味覚センサーを用いた分析評価やコンサルティングを行っている会社です。

味覚センサーの大量のデータを用いて、味の季節性や今後流行るであろう味を予測します。

食の美味しさの最終的な評価は、食べた感想です。

ただし、そこに至るまでの過程、つまり、なぜ美味しいのか、というポイントは経験や個人の感想ではなく、客観的事実に基づいて明文化するための分析や評価は欠かせません。

今後はそれらの分析やデータの積み重ねの活用が、大きな差を生むと思います

例えば、獺祭の旭酒造は、データをうまく活用でした成功例です。

杜氏の経験による日本酒づくりからデータにる日本酒作りに変えたことで

安定生産を可能にしています。

ただ、食品を作るのは前提なので、

生物・農学系または化学系にプラスして情報処理の技術があると非常に強いでしょう。

転職で食品メーカーの研究開発職に入るには

次に転職の場合です。

研究開発職の求人はある

食品メーカーの研究開発職の中途採用は一定数あります。

これは転職サイトを数年見ていた結果です。

ただし、他の業界に比べたら、少ない

食品メーカーの研究開発職の求人が少ない一番の理由は「離職が少ないから」。

新卒が3割辞める国内ですが、

食品メーカーの研究開発職に限れば、そこまで離職率は高くありません。

特に国内企業は昔からの年功序列や福利厚生の充実もあることで、

ある程度納得できれば、そのまま居つく人が多いのかもしれません。

安定志向で食品メーカーに就職する人も多いので、

今の安定を捨ててまで、転職する人が少ないんだと思います。

それでも少数の離職や企業が新規分野に参入するなどの理由で、転職の求人はあります。

もちろん大手もあります。

第2新卒は新卒と同じ条件

新卒から3年未満の求人者、いわゆる第2新卒の転職は、

新卒と採用条件は同じと思って大丈夫です。

最大3年と考えても、研修等を除けば、実質の業務は2年未満。

社会人としての基礎力は付いていても、専門性が付くわけではありません。

そのため、実務経験は重視されず、

人物評価という新卒採用と同じ条件で採用が行われます。

食品メーカーに新卒で入れなくても、

第2新卒で入ったという話はそこそこ見聞きします。

転職は実務経験があったほうが有利

普通の転職の場合は、

企業は即戦力を求めるので、実務経験があったほうが圧倒的に有利です。

ただし、これはスペシャリストとゼネラリストで異なります。

スペシャリストを求める求人

これは「基礎研究」「応用研究」です。

最新の研究情報やトレンド、分析機器に精通している必要があるといったレベルの高い求人がみられます。

しかも中途採用として即戦力を求められるため、研究の計画から実験スキル、成果まで高いレベルで要求されています。

逆にスキルが合致していれば、ベンチャーや中小、他の業界からも転職できる可能性があります。

ゼネラリストを求める求人

「商品開発職」がまさにゼネラリストを求めています。

顧客調査などのマーケティングから、製品の素材、製造、最終製品といった商品の開発に関わる総合的な知識が役立つ職種です。

最終製品を扱うメーカーであれば、加工が得意な分、素材の知識を持っている人を欲しがります。

逆に素材メーカーはその後の最終製品を見越して商品を作るため、最終製品や加工プロセスの経験がある人を欲しがります。

これらの求人は自社で不足しているスキルをがあり、即戦力として欲しいため、中途採用でとるのです。

分析ができる人はどの企業も欲しがる

食品メーカーに共通して、欲しがっている人材は何か?

研究に絞れば、分析ができる人、新しい分析手法を作れる人です。

新卒のところでも書きましたが、

  • 美味しさの定量化
  • 安全性の担保
  • 安定的な大量生産

など、分析が必要な領域は沢山あります。

また、技術の進歩とともに新しい分析手法もどんどん生まれています

そらを考えた時、新しい分析手法で安全性を担保し、他社との差別化が可能であれば、

企業としても取り入れたいのです。

化学メーカーなどの研究職や、品質管理・品質保証の職種からもスキルを持っていれば、

食品メーカーの研究開発職に転職は可能です。

中小から大手の転職は可能

何度も言いますが、転職では即戦力を求められます

大手とは違い、中小のメーカーの研究開発職は人数が少ない分、商品ができるまでのトータルな実務経験が多いことがあります。

つまり、1個の製品を開発するまでの応用研究から原料の調査、加工、工場への落とし込み、マーケティングなど全てを行う場合があるのです。

商品を作る上で、川上から川下までの意識して作ることは、安定生産を考える上で非常に重要なスキルのため、従事する分野が細分化されやすい大手メーカーではトータルで考えることができる人は欲しがっています。

以上のことから、中小にいても大手のメーカーに転職は可能なのです。

最後に

食品メーカーの研究開発といえば、生物系が多い印象は強いです。

しかし、その生物の知識のベースには化学や物理の知識があります。

またより活用するためのは情報処理などの知識があると便利です。

企業も多様性を重視する時代になってきました。

その時、食品メーカーの研究開発職に就くためにはどのような知識や経験があると差別化できるか考えると強みになると思います。

理想のキャリアを求めるなら、先手で計画実行していきたいですね。