【解説】食料自給率は農水省のプロパガンダ!国内需要と消費の関係の事実

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「日本は食料自給率がとても低い」というニュースを見たことがありますか?

食料自給率38%、23年ぶり低水準 16年度

毎年、このようなニュースが発表されます。

でも、変だと思ったことはありませんか?

ぜひ、スーパーやコンビニで売っているものの産地を見てみて下さい。

国産ばかりではないですか?

これは国内に、

  • 海外産は国産と比べると味が違う
  • 国産の方が安心感がある

という意識が多くの人にあるからです。

国産の食品に比べたら、絶対的に外国産の食品が少ない。

それなのに食料自給率が38%(2016年度)と低い

今回は、この理由と、なぜこのような数字を出しているのかについて解説します。

食料自給率には2種類ある?

食料自給率

食料自給率とは、国内の食料消費が、国産でどの程度賄えているかを示す指標です。
その示し方については、単純に重量で計算することができる品目別自給率と、食料全体について共通の「ものさし」で単位を揃えることにより計算する総合食料自給率の2種類があります。このうち、総合食料自給率は、熱量で換算するカロリーベースと金額で換算する生産額ベースがあり、2つの指標とも長期的に低下傾向で推移しています。

引用:農林水産省

食料自給率を簡単にまとめると

すべての食料消費のうち、国産の割合」を示したものになります。

自給率を考えるときには、2種類あります。

  1. 食料全体を考える「総合食料自給率
  2. 品目ごとの生産量を考える「品目別自給率

ニュースで見る食料自給率は「総合食料自給率」のことを指します。

品目別自給率は単純に生産量と消費量で決まります。

しかし!

総合食料自給率は次の2種類があります。

  • 食品の熱量(カロリー)で計算するカロリーベースの出し方
  • 生産額と消費額で出す生産額ベース

問題なのは、この算出方法の違いでまったく異なる計算結果になるということです。

カロリーベースの食料自給率

まず、カロリーベースの計算方法

(例)カロリーベース総合食料自給率(平成28年度)
=1人1日当たり国産供給熱量(913kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,429kcal)=38%

引用:農林水産省

38%なので、最初に紹介したニュースと同じ結果になりました。

さて、これを品目別に確認してみましょう。

引用:平成28年度食料自給率について(PDF : 434KB) – 農林水産省

米は98%とということで、ほぼ足りていますね。

ただ圧倒的に少ないのは、畜産物、油、小麦です。

畜産物は図の黄色の部分にあるように輸入飼料が多いことで、国産が多くてもカロリーベースの自給率が低くなっています。

油、小麦はそもそも国内の原料の生産量が少ないため、輸入に頼っています。

ただし!

カロリーベースの場合、

「カロリーの高い食品を多く含む畜産物、油、小麦(油との併用が多い)が総供給熱量の45%も占めている」のです。

このカロリーが高い食品の国内生産量が低いことが、自給率を下げる原因になっています

ここでカロリーベースでの世界各国の自給率を確認しましょう。

引用:農林水産省

カロリーベースの生産自給率が高い国は、どこも畜産業が盛んな国ばかりですね。

農業大国として世界第2位の農産物輸出額を誇るオランダは、自給率65%と低い結果になります。これだど、全然国内の食品だけでは養っていけないという構図になりますね。

生産額ベースの食料自給率

次に、生産額ベースの計算方法です。

(例)生産額ベース総合食料自給率(平成28年度)
=食料の国内生産額(10.9兆円)/食料の国内消費仕向額(16.0兆円)=68%

引用:農林水産省

こちらでは自給率は68%になりました。

先ほどの38%よりも30%も上がり、食料の7割は国産、3割が輸入になりました。

こちらの方がスーパーの感覚に近そうですね。

こちらも品目別に見ていきましょう。

引用:農林水産省

米や野菜は先ほどとほぼ変わりません。

そして輸入に頼っている砂糖、小麦、油も似たようなものですね。

対して畜産物は大きく変わりましたね。

畜産物の飼料は穀類のため、値段としては高くありません。

対して、お肉はそれなりの値段になるので、このギャップが生まれるのです。

さらに世界の自給率を確認しましょう。

引用:農林水産省

カロリーベースではドイツとかなり差がありましたが、生産額ベースにするとほとんど変わりませんね。

またこちらの計算だと、農業大国のオランダが自給率100%を超えています。

このように2つの計算方法があるわけですが、計算の方法によって大きく差が生まれることがわかりました。

世界的は生産額ベースが標準

食料自給率をカロリーベースで計算するのは日本だけ

一般的には生産額ベースで計算します。

カロリーベースということはカロリーの高いものほど全体を占める割合が増えます。

つまり、畜産物や油です。

畜産物は飼料を特に輸入に頼っています。

すると、輸入資料で育てた日本で育てたお肉は、輸入食材の扱いになります。

結果、カロリーベースで計算すると、日本の自給率は低くなります。

これはオランダも同じことが言えます。

また国内では食品廃棄も問題です。

カロリーベースではこの廃棄分も計算に入れています。

カロリーベースでも、廃棄分をぬけば、自給率50%になると言われています。

食料自給率から見える日本の農畜産物

日本の生産の中心は野菜や穀類が中心

先ほどの品目別の自給率を見ると、

日本の農畜産物の生産の大半が米、野菜です

米は日本の文化です。

そして野菜は保存しにくい食品です。

特に日本は島国で隣国との距離があり、野菜は基本自国生産です。

畜産物の飼料の海外輸入が多い理由

そもそもなぜ、多くの飼料を海外輸入しているか?

最も多く輸入されているのは、「トウモロコシ」です。

アメリカを始めとした北、南アメリカの各国から輸入しています。

飼料として牛、豚、鶏によく使われる配合飼料の65%はトウモロコシです。

ここまでトウモロコシの輸入が多い理由は

飼料用のコーンが国内ではあまり作られていないから」です。

食料用のスイートコーンと、飼料用のコーンでは種類が違います。

そして、単価の高いスイートコーンと、単価の低いコーンでは、

農家は高い方を作ります(そうしなければ利益が出ません)。

アメリカなどの海外では、大規模農業で飼料用のコーンを大量に生産することで、

生産効率をあげています。

しかし、国内では小規模農家が多く、飼料用を生産する生産者がいないのです。

日本の穀物が飼料に使われない理由

例えば、古米など古くなった米を飼料にする手は?

そう考えることもできます。

事実、非常時に備え、国内には備蓄米があります。

現在、日本でも飼料米も作られています。

国も補助金を出したので、業務用の安い米を作っていた農家が参入しました。

ただし、そこまで大きく進んでいるわけではありません。

進んでいない理由は次の3つです。

  1. 価格が圧倒的に安い(コストを下げ、大量に作れないと意味がない)
  2. 粉砕する機会が必要(どこが持つか?)
  3. 食用米の単価が高い(業務用の安い米が飼料米に移ることで、相対的に食用米が上がります)

特に価格です。これでも輸入トウモロコシの方が安いです。

また鶏卵用の飼料として、トウモロコシを使わないと別の問題が起きます。

トウモロコシから米にすると、卵の黄身が白くなります

卵の黄身の色は飼料によって、左右します。

カロテノイド色素を含むトウモロコシを食べさせると、黄色くなり、

色素のない米を食べさせると白くなります。

※栄養価に差はありません。

「いい卵」で黄身の色が濃いものを想像します。

こういった要望もまたトウモロコシを使う理由になっているのです。

なぜ日本はカロリーベースで計算するのか?

最後に国内ではなぜ、世界の主流である生産額ベースの計算を使わずに、

カロリーベースの計算をするのか解説します。

食糧問題について警告するため

生産額ベースでは自給率 :68%

カロリーベースでは自給率:38%

カロリーベースの方がより自給率が低いのが際立ちます。

これによって

先進国でずば抜けて食料自給率が低い」ことを印象付けさせることができます。

生産額ベースでも68%なので、

3割は輸入がなければ、国内の食料が枯渇することを意味します。

この数字は世界的にみても、低いため、自給率をあげることは国内の課題です。

そこに「3割輸入です」、よりも「6割は輸入に頼っている」の方が

より危機感を生み出すことができます。

このように食料問題をより啓発するために、

カロリーベースで計算していることが考えられるのです。

農水省が予算を確保するために危機感を煽る

自給率が低いなら、どうしたらいいでしょうか?

国は、そこにお金をかける必要があります。

食料は全国民に関わる問題のため、輸入に頼ると有事の際に非常にリスクが高いです。

それを防ぐためには、

食料に関わる国の機関である農林水産省に予算を取る必要があります。

要するに農林水産省は、

予算を確保するために、その事業の必要性を論理的に出す必要があります。

その場合、自給率が68%なのと、38%では危機感が全然違いますね。

このように

カロリーベースの計算をすることで、危機感を煽り、論理的に予算の必要性を獲得している

と考えられます。

既得権益を維持するため

さて、ここは完全に私の妄想です

カロリーベースの食料自給率を出して、予算を獲得している農林水産省。

実際、それなりに成果を出している面もありますが、食料自給率はここ数年落ち続けています。

それはなぜでしょうか。

この原因について2つ考えてみました。

1.農協との関係

これは農林水産省と農協との関係もありますが、議員と農協との関係もあります。

例えば、議員との関係を考えてみます。

地方の農業を活性化するために農協後援で選挙に出馬する方います。

その理想は大変素晴らしいです。

しかし支援金や補助金などで、既存の農家、農協と関係を密にしてしまうと、

  • 農業への新規参入が難しい
  • できても必ず農協との強い結びつきが必要になる

という構造が出来上がるのです。

2.新規参入の制限

企業が農業に参入することができない現状があります。

つまり農業の企業経営が難しい(農家が集まって企業になることはできます)。

これは農地を、農地以外に使わないようにするため仕組みです。

しかし、高齢化によって農業を離れる農家も多くなりました。

すると農地は荒れて使われない状態になります。

結局、新規参入はないけど、農地はどんどん減っている状況が出来上がるのです。

しかし、企業が参入すると今までの農業の補助金と仕組みは大幅に変える必要があります。

今まで利益を出している人の反対が絶対あります。

このように既得権益を守るためにやっている、こんなことを妄想しました。

ただ、生産額ベースでも自給率には問題がある

さて色々カロリーベースで計算する理由について考えてみました。

正直、凄く闇が深い気がします。

カロリーベースの計算は色々と問題があると思うのですが、

生産額ベースで計算しても日本の自給率は68%です。

これは決して高い数値ではありません。

さらに食料の廃棄も非常に問題です。

今後、国内の農業、畜産業などは大きく変革の時期が訪れると思います。

だって今のままでは農地はどんどん減って、さらに自給率は下がるでしょう。

1つは過去から続いた減反政策が終わります。

これを機に農業の姿も大きく変わって行くのではないでしょうか。

最後に

食品メーカーに勤めていると、

国の政策って目先優先で、長期的な視点が足りないと思います。

東日本の後、地場の企業に支援を出すというのがありました。

被災によって壊れた工場やお店を復旧するためです。

しかし、その復旧の間に他の競合他社が市場を作り、以前のように商売ができず、

廃業に追い込まれた例もあります。

とはいえ、競合も足りない物資を届ける事で貢献しているので、どっちが悪いというわけではありません。

でも支援の仕方に問題があったとは思います。

今回の自給率の計算には、かなり闇が深いと思います。

私個人の意見としては、

既得権益や天下り先など目先の利益ではなく、

もっと長期的な目線で自給率をあげる取り組みに期待でしたいです。