【解説】食品のパッケージから「人工」「合成」が禁止になるかも?

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食品のパッケージで次の言葉を見たことはありませんか?

  • 合成保存料不使用
  • 人工甘味料不使用

食品表示には様々な法律が関わってきます。

その食品に何が使われているかを表す食品表示には厳しいルールがありますが、

パッケージの表示方法は、メーカーが任意につけることができます。

この食品表示とパッケージの表示方法が今回の話です。

実は、上記であげた2つ「合成」「人工」は食品表示に記載してはいけないルールです。

しかし、パッケージには書かれている商品が多い。

ということで、今回は、

  • どのような経緯で「合成」「人工」が食品表示から消えたのか、
  • そしてパッケージの表示が今後どうなりそうか

解説します。

今回の話は消費者庁の「食品添加物表示制度をめぐる事情」を参考にしています。

「合成」「人工」の表示の経緯

食品表示から消えたのは30年以上前

この図は過去の食品表示の経緯になります。

昭和63年(1988年)の法改正で、

食品添加物表示から、人工、合成の言葉がなくなり、

他の添加物と同様に、成分名の表示が義務付けられました。

では昭和63年の前後の変化をまとめます。

人工や合成の表示ができる前、化学合成された添加物による事故が多発しました。

例:人工甘味料ズルチンによる食中毒事件

結果、人々が不安に思い、それを表示して欲しいと声が上がりました。

その結果、化学合成された添加物は、

国による厳しい基準を通過したものだけが使用できる許可性となり、

表示は人工〇〇、合成〇〇という表示が義務付けられました。

ただし、天然系の添加物については合成化合物と比較してゆるい基準でした。

1980年、今度は天然系の添加物の基準がゆるいことが問題になりました。

例えば、ハムやソーセージ、お菓子に使用されていた「アカネ色素」という

セイヨウアカネから抽出した天然の植物の着色料です。

実は発がん性が指摘され、現在は使用されなくなりました。

このように天然だから安全といえる理由がないのです。

また合成系だけを特別扱いしていたのは日本だけで、

各国との足並みを揃える理由もあり、

天然、合成にかかわらず、

国の審査を通過したものだけが添加物として使用でき、

表示することが義務付けられました。

「合成」「人工」と「天然」に安全性に差があるのか

上記にも書きましたが、

合成(人工)と天然で、どっちが安全の優劣をつけることはできません。

なぜなら、含有する成分によって様々であり、

安全なものもあれば、使用を間違えると危険なものもあるからです。

使用量が多いと体に影響が出るものは使用基準が決まっています。

また、同じような成分でも合成の方が不純物がなく、安全なものもあります。

このように、安全面から見れば、差は全くありません。

そして健康に良いかどうかも全く関係のない話です。

「合成(人工)〇〇不使用(無添加)」が消費者を惑わす

天然と合成に優劣をつけず、安全性を評価し、許可されたものだけが使えるのが

現在の仕組みです。

しかし、天然や合成〇〇不使用をうたう商品は後を立ちません。

この原因は、一般の人たちの理解が進んでいない理由と、

「天然」だから安心という「天然物信仰」があるからです。

書けば、商品が売れる現実

一部のメーカーでは不使用や無添加をうたうことで、

実際に売り上げが伸びた例も多くあります。

例:「ねるねるねるね」の業績がV字回復!その秘策とは?

2019年9月にテレビ放映された内容です。

パッケージに「保存料・合成着色料0」と表記したところ、

それまで敬遠していた保護者の反応が激変したそうです。

食品表示の欄には「合成」「人工」の言葉は入れることができません。

それでもパッケージにはメーカーの任意で書くことができてしまいます。

残念なことに現状、パッケージまでにルールは設けられていないからです。

不使用、無添加表示の意味はない

例えば、ミントの香りの香料。

ミントの香りの主成分は「l-メントール」。

ミントから抽出した香料も、合成した香料も両方とも食品に利用することができます。

もちろん、成分としては同じなので、

安全性に違いはありません。

しかし、もし合成香料ではなく、天然物の香料なら、

「合成香料不使用」とパッケージに書くことができてしまいます。

でもそこに安全性の違いも、健康機能の違いも何にもありません。

実は、日本食品添加物協会は

「無添加」「不使用」表示が優良誤認表示にあたる可能性を指摘し、

協会会員と食品関連業界に、自粛を要請しています。

それでも表示するのは、表示すれば、売れるからです。

私たちにできること

食品を買う上で、私たちにできることは3つです。

  • 安易な情報に踊らされないこと
  • パッケージじゃなくて、食品表示を確認すること
  • 知識を付けること

まず、パッケージに「合成(人工)〇〇不使用(無添加)」はあたかも良さそうに見せる

メーカーの戦略に過ぎません。

そんな情報に安易に踊らされてはいけません。

詳しい情報は裏にある食品表示の原材料名に書かれているので、

そちらを参照しましょう。

分からなければ、調べましょう。

ここにコメントいただければ、返答します。

最後に、自分や家族の健康や安全のために、知識をつけましょう。

これは商品のパッケージだけでなく、

普段見る広告やテレビの情報番組も含めて

デマや適当な情報、不親切な情報は世の中に溢れています。

その中で、しっかりした情報を得え、安易な情報に惑わされないためには

知識を付けるが大変ですが、1番の近道です。

最後に

ここまで「合成」「人工」の不使用、無添加について解説しましたが、

これらのパッケージや広告での表示は今後、なくなる可能性が高いです。

実際、消費者庁でも用語や表示の見直しが検討されており、

2020年5月16日まで、パブリットコメントを募集しています。

ぜひ、思うところがあれば、パブコメやこちらのコメント欄にお願いします。