【解説】食品に使われる麹の種類と発酵に適する理由

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甘酒、塩麹など、日本の様々な発酵食品に使われる麹。

麹を使った発酵食品は日本独自のものであり、この麹は国菌としても認定されています。

今回は、麹について、食品に使用されている種類と発酵に適している理由を解説します。

麹に使われる微生物

麹はカビの一種

麹、糀(こうじ)とは、米、麦、大豆などの穀物にコウジカビなどの食品発酵に有効なカビを中心にした微生物を繁殖させたものである。

引用:wikipedia

麹はコウジカビ(Aspergillus属)などのカビを中心とした微生物が穀物で繁殖しているものを指します。

ここでは微生物はカタカナ:コウジカビ

食品に使われる穀物に繁殖した状態を漢字:麹

と表記します。

つまり、麹はカビの付いた食品です。

使用した穀物の名前を使って、米麹、麦麹と表記するのが一般的です。

日本の発酵食品で使われるコウジカビ

主要なものは次の通りです。

Aspergillus oryzae(アスペルギルス オリゼー)

一番有名で、一番使われているコウジカビです。

マンガ「もやしもん」の主人公の肩に乗っているのがこのオリゼーです。

黄麹菌と呼ばれ、味噌、醤油、日本酒、酢、味醂などを醸す代表的な菌種で国菌として指定されています。

Aspergillus luchuensis(アスペルギルス リューチュエンシス)

旧名:Aspergillus awamori(アスペルギルス アワモリ)

焼酎や泡盛を醸すのに使われるコウジカビで黒麹菌と、色素を作らない白麹菌があります。

こちらも国菌に指定されています。

オリゼーと違って、クエン酸を作ることで、雑菌を予防できることから、暑い地域での酒造りに使われます。

焼酎作りが盛んな九州や泡盛を作る沖縄で古くから使われきました。

Aspergillus sojae(アスペルギルス ソーエ)

味噌・醤油を醸すのに使用されるコウジカビで、国菌に指定されています。

オリゼーよりもタンパク質をアミノ酸に分解する機能が強力のため、味噌・醤油作りに適しています。

Aspergillus tamarii(アスペルギルス タマリ)

醤油の中でもたまり醤油は、このタマリを使用することがあります。

Aspergillus glaucus(アスペルギルス グラウクス)

本枯れ節のカツオブシを作るのに、使われるコウジカビです。

枯れ節のカツオブシは、最後にこのコウジカビをカビつけすることで、カツオから余分な水分が抜け、脂肪分が分解されるため、独特な香りと光沢になるため、高級なカツオブシになります。

その他、食品色素原料や沖縄の豆腐ように使用される紅麹がありますが、

これはMonascus属のまた違うカビになるので、今回は説明を省きます。

コウジカビは全てが安全とは限らない

食品に使われるコウジカビは一般的に、安全です。

しかし、カビのため、胞子を作り、その胞子によってアレルギーを発症することがあります。

これは酒蔵の職人がなるため、職業アレルギーです。

さて、実はコウジカビ(Aspergillus属)の一部は病原性や毒素を作ります。

A. fumigatusやA. flavus、A. nigerなどコウジカビで、

名前だけでは違いがわかりません。

でも残念なことに、顕微鏡で観察してもオリゼーやソーエとそっくりで判別が難しいのです。

これらのコウジカビはアスペルギルス症(カビ性肺炎)を引き起こします。

また毒素を作るものは食中毒対策として古くから問題になっています。

※オリゼーなど国内で使われる食品のコウジカビは毒素生産能を失っています。

食品用の麹は、もやし屋と呼ばれる麹を作る専門業者(種麹屋)が作っており、

安全なものしか出回りません。

そのため、「天然のコウジカビを使用した」と言ったように

新たに自然から採取したコウジカビの使用をうたっている場合、

安全は保証できないので、注意が必要です。

安全なコウジカビでも食品の見た目を悪くすることがある

発酵食品にとってコウジカビはなくてはならない存在です。

しかし、発酵食品以外にとってはコウジカビは害悪でしかありません。

例えば、お酒造りに必要なオリゼーも、

食パンで繁殖すれば、見た目を悪化させ、食べてはいけない食品になります。

これは病原性や毒素の有無にかかわらず、もう見た目が悪いものは食べないからです。

またコメが黄色くなった黄変米、桃など表面にできるカビ、玉ねぎを保管中に黒ずむのも

全てコウジカビの仕業です。

このようにコウジカビは発酵食品にとってなくてはならない反面、

他の食品にとってはいて欲しくない存在であり、

以下にコウジカビを殺菌したり、増やさないかが課題になっています。

麹が発酵食品に適している理由

多種の分解酵素を持つ

いちばんの理由は、多くの種類の分解酵素を作ることです。

酵素とは、化学反応を促進する生体触媒のことで、

通常ゆっくり起こる反応を酵素が促進し、短時間で反応を行えるというものです。

今回は、分解酵素なので、分解反応を促進する酵素です。

生物の酵素は、体内で機能を示し、体外は機能しないのが一般的です。

しかし、コウジカビは体外酵素をだし、麹の周りにある栄養素を分解します。

具体的には、

コメなどに含まれるデンプン → 糖に分解(炭水化物分解)

大豆に含まれるタンパク質 → アミノ酸に分解(タンパク質分解)

です。

この作用により、

  • 人にとって消化吸収が良くなる
  • 味が良くなる(大きな分子は味をほとんど感じません)
  • 酵母や乳酸菌などの次の発酵に必要な栄養分を作る

特に最後の他の発酵に必要な栄養分まで分解することが重要です。

お酒であれば、麹で分解しないとアルコール発酵が進まない

みそや醤油も、麹で分解しないと乳酸発酵が進まず、味が締まらない

この分解酵素を持つことこと、発酵食品に適しているいちばんの理由です。

風味が良い

麹を使う副次的なメリットとして、

食品の風味をよくする、悪くしないというメリットがあります。

麹の甘酒や塩麹、米麹などスーパーでも売っています。

それらの匂いや味は強くなく、他の食品の風味を悪くしません。

またほのかに栗用の香りがするのもいいところです。

まとめ

  • 麹は食品によって使う種類が異なる
  • 多種の分解酵素を作るのが発酵に適している
  • コウジカビの仲間には危険な種類もある
  • 発酵以外の食品には危害となる
  • 麹は国菌であり、日本独自の文化