【解説】塩麹の科学

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2012年ごろに塩麹がブームになりました。

レシピサイトではまだまだ現役です。

塩麹を使うと、旨味が増したり、お肉が柔らかくなったり、と

様々な効果があります。

今回は、

塩麹とはな何か

なぜ食品を美味しくする効果があるのか

そのメカニズムを解説します。

塩麹とは

麹とは何か

塩麹に入る前に、麹についておさらいします。

麹は食品の発酵に使われるコウジカビのことです。

麹は日本酒や焼酎、泡盛、醤油、味噌、酢など日本の発酵食品に欠かせない微生物で、

国菌として、指定されています。

今までは上記のような発酵調味料のほか、甘酒の材料として使われてきました。

塩麹の作り方

塩麹の作り方は簡単です。

必要なものと量は次のとおりです。

  • 米麹:100g
  • 塩:35g
  • 水:120g

米麹は酒蔵やスーパーでも購入することができます。

これらを混ぜて容器に詰め、常温で1週間〜10日起きます。

毎日1回、混ぜることで均一にする作業があります。

※期間はその時の気温で変わります。夏なら1週間です。

ちなみに、絶対に塩分を少なめにしてはいけません。

上記のレシピで大体塩分濃度10%以上ですが、

それ以下になると雑菌が生えやすくなり、

食べれなくなります。

塩麹の保管

出来上がったら、塩麹は冷蔵庫で保管します。

塩麹はまだ菌が生きている状態なので、長期間常温で置くと

味が変化し、食すのには適さなくなります。

また、旨味が豊富なので、作り始めよりも雑菌が増殖するリスクがあります。

そのため、塩麹が完成したら、冷蔵庫に入れること

そして、なるべく早めに使い切ることをおすすめします。

完成するまでに起こること

材料を混ぜ合わせてから、常温に置くことで次のことが起こります。

  1. 米麹が水分を吸収する
  2. 麹が酵素を体外に分泌する
  3. コメの粒がより分解されてドロドロになる
  4. コウジカビも一部死に、分解されてうま味となる

つまり、コウジカビがもつ酵素が残っている米や麹自身を分解することで、

甘味やうま味を作り出しているのです。

塩麹のような食塩の高い状態では、ほとんどの生物は生育することができません。

コウジカビは大部分は死なないのですが、増殖している訳ではありません。

発酵ではなく、自己消化

上記のようにコウジカビは生育せず、自分が作り出した酵素で周りを分解し、

そこから栄養をとって生きている状態です。

また一部は死に絶え、自分を分解する自己消化を起こします。

自己消化とは、死んだ時、自分の作り出した酵素で、自分自身を消化することです。

紅茶のように、微生物が関係していないくても発酵ということがありますが、

他の発酵食品とは若干仕組みが違います。

市販の塩麹は

ここまで見てきたように塩麹の良さは、コウジカビ由来の酵素が重要な成分です。

しかし、酵素はタンパク質できているため、熱に弱い性質があります。

塩麹はコウジカビを含むため、常温で日持ちするモノではありません。

日持ちさせるためには、「殺菌」が必要です。

しかし、殺菌は熱をかけるため、酵素は壊れてしまします。

つまり、長期保存が可能な市販の塩麹の中には

殺菌して、酵素の効果がほとんどない商品があります。

新しい醸造調味料「塩麹」の特性

論文中で市販の塩麹の酵素活性を測定していますが、

一部の商品では全くやほとんど酵素の活性が残っていない塩麹も存在するそうです。

これも塩麹が最近のもので、まだ規格が存在しないことも理由です。

酵素が効かない塩麹ではお肉が柔らかくなりません。

市販の塩麹を購入される際は、

  • 殺菌されていない
  • 冷蔵品や賞味期限が長すぎないもの

を選ぶようにしましょう。

塩麹を使うと美味しくなる理由

麹のもつ酵素の働き

塩麹を使うと安い胸肉もパサパサせず、柔らかく仕上げることができます。

これは塩麹の中にタンパク質分解酵素が含まれているからです。

タンパク質分解酵素は、その名前の通り、タンパク質を分解します。

つまり、お肉を塩麹でつけることで、

お肉のタンパク質を少し分解し、焼いても硬くならないようにしてくれます。

またお米が分解してできた糖類がお肉の内部に入ることで、

保水性を保ち、パサパサになるのを防いでくれます。

塩麹の臭み消し効果

塩麹は肉や魚、さらに野菜の臭み消しに効果があります。

これは塩麹の分解作用によって、脂質系の臭みが分解されるだけでなく、

塩麹そのものがもつ旨味によって、マスキングされるためです。

そのような効果があるのに、

塩麹そのものはそこまで匂いがしないので、

より効果が感じるのです。

塩麹そのものがうまい

塩麹はコメやコウジカビが分解された糖やアミノ酸を豊富に含んでいます。

味覚の補足

実は、米の主成分のでんぷんやお肉のタンパク質は味がしません。

でんぷんやタンパク質は分子が大きすぎるので、

味覚として感じることができないんです。

そのため、口の中で分解したり、一部含まれる小さい分子

糖やアミノ酸を味覚として感じています。

つまり、塩麹を加えることは糖やアミノ酸を加えことであり、

それは口に入れた瞬間にうま味や甘味を感じることができる訳です。

塩麹は塩かどを和らげる

最後に、同じ塩分濃度の料理を作る時、

普通に塩を加えた場合と、塩麹を加えた場合では、

塩麹の方が圧倒的に食べやすいです。

これは塩麹由来のうま味もありますが、

塩麹に含まれる成分によって、塩の味をマスキングし、

塩かどを抑え、味を整えてくれるからです。

まとめ

これまでの内容を総括します。

  • 塩麹は家でも簡単に作れる
  • 塩麹の酵素がうま味を作り、お肉を柔らかくして美味しくする
  • 塩麹自体がうまい
  • 市販の塩麹には酵素活性がない商品もあるので注意が必要