【解説】新型コロナウイルスで日本のPCR検査数が少ないのに、死亡者数が少なかった理由

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新型コロナウイルスは、世界各国で、ロックダウンや経済ストップなど

大きな被害を出しています。

その中で日本はPCR検査数の少なさが、日々テレビなどのメディアで批判があったものの

実際、蓋を開けて見れば、

検査が進んでいない割に、死亡者数が非常に少ない結果となりました。

海外では「ジャパンミラクル」とまで言われています。

今回は、死亡者数を低く抑えることができた理由について解説します。

感染症の対処方法

2020年の新型コロナウイルスだけでなく、過去の世界的パンデミックを振り返って、

対処法は大きく二つです。

  • 感染者の発見と隔離
  • 重病者の治療

感染者の発見と隔離

感染症を広げないための第一段階は

  • 速やかに感染者を発見すること
  • 感染者を隔離し、感染の拡大を防止すること

です。

特に感染力が強く、重病化しやすい感染症の場合、

感染者を発見する検査が重要になります。

SARSやMARSの時には、これが非常に重要な対応してた。

メリットは、感染者を幅広く発見し、隔離により感染拡大を防ぐことができる

デメリットは

感染者の人数に合わせた隔離施設が多く必要

検査、医療現場の感染リスクとリスク回避するための防護服等が必要

重病者の治療

次に死亡者を増やさない方法として重病者の治療があります。

新型感染症の場合、軽症・重症にかかわらず、感染症自体の治療法はありません。

そこで、治療は症状に対して行うこととなります。

具体的には新型コロナウイルスの場合、重症化すると肺炎を引き起こします。

そこで、この肺炎の治療を行うわけです。

メリットは、死亡リスクを下げることができる

デメリットは、感染症の根本的解決にはならないため、隔離と経過観察を続ける必要がある

重症化しやすい感染症の場合、感染者の発見と隔離措置が重要になります。

対して、感染力が強いが、重症化する割合が高くない時、重病者の治療に重点を置いたほうが死者数を減らすことができます。

日本の対応

では、日本の医療現場はどうであったか振り返ります。

PCR検査

感染の検査には定量RT-PCR(メディアでPCRと略されている方法です)を行いました。

様々なメディアで言われていましたので、

他国に比べると、日本のPCR検査が少ないのが現状です。

「なぜ少なかったのか、なぜ増えなかったのか」

については以下のページで詳しく解説します。

【解説】新型感染症の検査に使われたPCRと日本の検査数が一気に増加できなかった理由
新型コロナウイルスによる世界的な混乱の中、日本はPCR検査が諸外国と比較して少ないにも関わらず、死亡者数がと...

重症者治療に重点を置いた

PCR検査が増えていませんでしたが、日本は重症者治療に重点を置きました。

具体的には肺炎の発見と

そこに医療機器を集中させたからです。

結果、死亡者数を減らすことができたのだと思います。

日本でロックダウンはできない

日本は緊急事態宣言を発令することによって、

外出の自粛や営業の自粛を行いました。

しかし、他の国で実施した「ロックダウン」と比較して、

その内容は国民まかせでした

実は、日本は憲法でロックダウンをすることができません。

憲法では基本的人権を尊重することとなっています。

その基本的人権として、「移動の自由(憲法22条)」が保証されています。

他国ももちろん移動の自由がありますが、

戦争や感染症などの非常事態に対応するための「緊急事態条項」により、

国民全体を守るために、一時的に人権保証を停止することで、

新型コロナの対応のように「ロックダウン」を行うことができます。

対して、日本は「緊急事態条項」がないため、

政府は基本的人権を停止する「ロックダウン」はできないのです。

日本が重症者治療に重点を置くことができた理由

新型コロナウイルスで重症化すると肺炎を引き起こします。

では、なぜ日本がこの重症化治療(肺炎治療)に重点を置くことができたのか

解説します。

日本は高齢化社会であり、肺炎による死者数が多い

日本は高齢化に伴い、肺炎による死亡者数が増えてきた歴史があります。

近年は減少傾向にありますが、

疾患による死亡原因は、がん、心疾患について、肺炎が多く、

年間10万人以上の人が肺炎によって命を落としています。

そのため、国内では肺炎の早期発見とその医療機器が揃っていました。

CTの保有数が世界平均の4倍

肺炎を発見にはコンピューター断層撮影装置(CT)を使用します。

このCTの人口当たりの各県と国の保有数はこちらです。

<財政制度等審議会財政制度分科会(平成30年10月9日)資料より>

日本の人口10万人あたりのCT台数の平均は10.7台

一番少ない神奈川県で6.4台

OECD平均は2.6台

他の国で一番多いオーストラリアでさえ、5.6台

です。

平均だけでも日本は他国の4倍以上のCT台数を保有しているのです。

新型コロナウイルスによる感染症の検査は

CTにより肺炎の有無の確認 → PCR検査による新型ウイルス感染の確認

という流れを取りました。

この流れによって、まず重症者の発見の早期発見と治療に集中することができました。

数年前まではCTをはじめとする大型検査機器の多さが問題になっていましたが、

今回は、この既存設備の多さを利用して新型コロナによる肺炎の重症化を発見し、

治療に当たることができました。

重症者治療に重きを置いていた

さて、最後に感染症対策の戦略についてです。

日本は当初から重症者の治療に重点を置きました。

これは、中国武漢の感染の状況を見て、

感染者の多くが軽症であることから考えたのかもしれません。

医療資源を重症者に集中したことで死亡者数を減らすことができました。

ただ誤算だったのは3月以降に感染者が増えたことで、

医療負担がまし、医療崩壊に近づいたことです。

そこで「緊急事態宣言」により、感染者数を下げ、

新規重症者を増やさない方向にシフトしたのだと思います。

最後に

今回の新型コロナウイルスに関して、日本の医療や政府の対応には多くの批判があります。

改善すべきところは、私もあると思います。

しかし、高齢者や基礎疾患がある人ほど重症化しやすい新型ウイルス感染症に対して、

世界一の高齢化社会であり、ロックダウンもできない日本の死亡者数が極めて少ないことは、

称賛に値します。

この点については、政府も医療機関の対応も素晴らしかったと思います。

最後に私の意見ですが、

今回の良かった点、改善すべき点を具体的にし、

次に活かすべきです。

新型コロナウイルスは、第2波が起こる可能性があります。

感染者が減った今だからこそ、より良い対策が打てるよう

変えていく必要があると考えます。